人間
17/07/09
昔バイトで塾講師やってた時に聞いた話。前提としてそこそこ名の知れたチェーンの割と大きめの教室で起こった話。

8月末、夏期講習会のラストの方に生徒全員に主要5教科毎のアンケートをとっている。(これが査定にも影響する)

まあそれなりの規模の塾で教材もしっかりしているから、普通に授業やってりゃおおむね高評価がもらえる。

「学校より面白くて分かりやすい」「冬季講習会も受けたい!」みたいにね。

ところが稀にそうじゃない、いわゆるマイナス評価を食らう講師がいる。このマイナスが多いと特別ミーティング、場合によってはペナルティの対象となることも。

ここから本題。ある年の夏期講習において、今まで見たこともないパターンのアンケートが回収された。

1クラス30人ぐらいいる中3の教室で、生徒のほぼ全員が全教科プラス査定だったのに、一人の生徒(田中(仮名)とする)だけ全教科マイナス査定をつけた。

「僕はきちんと宿題やって毎日出席してたのに、授業中は一度も当てられなかった」

という理由で。

ちなみに記入後のアンケート回収、集計は公平を期すため、別のクラスの講師が担当するのが慣わし。

その数週間後、9月初旬に月例ミーティングがあり、改めてこのアンケートが議題に上がった。

「〇〇教室の3年△△クラスの田中君からこのようなアンケートがあった!二度とこういうことがないように!」

とおえらいさんは激怒していた。一方でそのクラスを受け持った講師5人は、「田中ってだれだ?」と誰一人として記憶にない。

9月の通常授業に通っている生徒何人かに聞いてもやはり同じ反応だった。しかし、夏期講習時の出席簿を見ると田中はほぼ無遅刻無欠席で通っていた。

田中の個人情報はデータベースに残っていたので、電話で確認をとるも不通。住所も記載があったが、直接現地に確認に行った者はいない(googlemapなどがなかった時代)

そうこうしている内に中3生は卒業。塾は高校受験までが対象なので、田中をふくめた中3の個人情報は全て削除。

あれはいったい誰だったのだろうと後に語り継がれるようになった。