部屋
12/07/06
大学に通うため上京したときの話。

中学から続けていた陸上。スポーツ推薦で入学した大学だった。ワンルームを借りて、念願の一人暮らしをはじめた。

引越しの日、なぜか水が出なくて困った。しかし、翌日には業者が来て直してくれた。

それから数週間あと、寝てる間に携帯が鳴り、出たとたんに通話が切れる――ということがあった。

その着信は非通知だった。それは何日も続いた。なので無視するようにすると、もうかかって来なくなった。そんなことはすぐに忘れて、その後一ヶ月くらいは何もなかった。

大学では多くの友人ができ、陸上もいい成績がでたりして、何もかも順調だった。

でもある日、大学から帰ると、部屋の真ん中に置いていたテーブルが逆さにひっくり返っていた。もちろん鍵は毎日かけて出ているし、その日も鍵は確かにかかっていた。

気味が悪かったが、実質、被害もないので、どうしたものかと悩んでいた。大家と相談し、鍵の交換を求めたが、結局は自分の金で交換することになってしまった。

無事に交換が済んだその次の日、朝起きると、部屋の窓が全開になっていた。寒くないとはいえ、夏はまだ先だ。まさか開けたまま寝るなんてことはない。

なにか嫌な予感がした。すぐに窓を閉めた。

すると、バァーンっとすごい音がして、クローゼットのドアが勢いよく開いた。心臓が止まるかと思った。近づいて中を覗く。すると、そこには大量の白髪が落ちていた。

それを見て、吐きそうになった。気持ち悪いので、割りばしでつかんで捨てようとする。そのとき気がついた。その長い白髪は、つながった一本の白髪だった。

霊など信じていなかったが、そうとでも思わないと説明がつかなかった。

その日、神社で御札を買って帰った。玄関と部屋にそれぞれ張った。御札の効果を期待して、その日は早めに眠った。

翌日目を覚ますと、枕元に包丁が刺さっていた。おもわず声をあげてしまった。

部屋を見渡すと、ナイフやカッター、はし、フォークなどが、自分のかばんや服に刺さりまくっていた。

そして、お気に入りのくつが、なにかでズタズタにされていた。とても履ける状態ではない。あの御札はどこかに消えていた。

もうイヤだ。すぐに部屋を引っ越すことにした。次の部屋が決まるまでは友人のところで世話になった。

そして新しい部屋も決まり、引越しも完了した。これで大丈夫だろう。あんな思いは二度とゴメンだ。

実際、引っ越してからはおかしな現象は起こっていない。強いて言えば、最近、陸上でタイムが悪い。フォームの乱れをよく指摘される。自分ではそんなことないと思うのに。

こんな呪い?ってあるのか?やはりお祓いを受けたほうがいいのだろうか?