16/05/24
医者だった祖父が、とある山中の無医村に赴任したときの話。
祖父と祖母の家に預けられる形で、当時6歳の俺も一緒にその村で暮らすことになった。
喘息持ちの俺の転地療法も兼ねていた。
初日から村を挙げての大歓迎だった。鎮守の神だという蛇(カガ)を祀る神社で盛大な祭りが催され、
「神様のご加護」「神様の目印」として玄関先と裏口に巨大な鈴のついた幣束がとりつけられた。
診療所兼住宅として与えられた建物は真新しく、わざわざ整地した土地に新築されていた。
俺の喘息の発作はみるみる落ち着き、村の者は「カガ(蛇)さまのおかげ」だと口々に俺に説いた。
人懐っこい村の子供たちともすぐに打ち解けたが、すぐに不可解な噂を耳にすることになる。
「俺くんは良いのう、カガ(蛇)さまがお迎えにくると母ちゃんが言いよる」
その意味を祖父母に問いただしたが、祖父母は顔を曇らせて、「お前は何も心配するな」とだけ。
そういえば毎夜、日が暮れるなり家全体が締めつけられるようなギギギ…家鳴りが気になる。
祖父母には「新築の木造家屋はそういうものだ」と説明されたが、一度気になると恐怖しか感じない。
だがやがて俺と祖父母は、「カガ(蛇)さまのお迎え」の本当の意味を知るところとなる。
台風の近づいたある晩のことだった。血相を変えた父と兄が、祖父母と俺を迎えに来た。
困惑する祖父を父が殴りつけ、声を殺して「すぐに逃げろ!」と俺たちを車に押し込めた。
翌日上陸した台風により、山肌を押し流すような地滑りがあり、集落は土砂に飲まれた。
ただ一軒だけ無事だったのが、祖父母と俺たちのいた診療所。だがその姿は異様なものだった。
すべて窓や出入り口が、中から脱出できないように外側から閂(かんぬき)と鎖で固められていたのだ。
勘の良い人にはわかったと思う。俺たちはカガ(蛇)さまへの供物で、鈴や幣束は生贄の目印だ。
供物の俺たちに逃げられたカガ(蛇)さまの怒りか否か、村人たちの住居は一軒残らず土砂に飲まれていた。
俺たちを生贄にした安心感からか、村人たちは車で小一時間の避難所へ行くこともなく、皆自宅で亡くなっていた。
(了)
155:16/05/24(火) 15:36:50.54 ID:7LE7d1Hf0
面白かった乙、ほんでどこの話?
156:16/05/24(火) 15:40:55.05 ID:c1JcRuu/0
>>155
方言でバレるかもだが山陽です
158:16/05/24(火) 21:40:54.27 ID:usni5N2O0
>>156
なるほど山陽かー
馴染みないからかもしらんが神秘的なイメージあるわ
引用元:https://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/occult/1463021094/
コメント
コメント一覧
無医村地帯に行く医者は地元民から訳の分からない嫌がらせを受ける事が多いとか。
常識的に考えれば自分達にとってメリットしかない人を相手に「余所者」の感情が勝つ謎
だから無医村に行きたがらないのは収入や出世だけが要因ではない
医者の嫌がらせは村長選で呼んだほうの対抗馬が実績潰しでやってることもあるので医者が居つかない地域でも「選挙に無関係の余所者」には親切ということもある
なお廃村になった模様。信者は死んじゃいましたナンチテ
該当しそうな例を挙げるなら伊勢湾台風くらいまでさかのぼらなければなりませんが、投稿者殿はそんな高齢者でもなさそうです。
他にも、祖父母は「カガ(蛇)さま」について何か知っていたのか、父と兄はなぜ村人たちのたくらみに気付いたのか、不審な点ばかりが目立ちます。
書き込み当時55歳ぐらいで
村はつぶれても全員亡くなったんじゃなく死傷者多数なんじゃないかと思う
6歳の記憶ですぐに引っ越しただろうし盛ったり記憶違いもあるだろうからさ
昭和の田舎はまじで迷信深くて、あやしいおまじないも横行してたよ
父はどうやって入って来たの?玄関だけ封鎖されなかったの?
父の車のエンジン音に村民は誰も気付かなかったの?
それにしても誰も気付かないのかよw
村民ボンクラすぎるだろ
創作だと分かっている風を装うが話を楽しむ余裕はなく容赦のない批判を行う妖怪
目撃範囲は広く本スレのみならずまとめブログにも出没する
前田加賀守「ワシを女体化するな」
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