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553 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/11/29(土) 03:21:38 ID:GXx0yKkX0
去年オーストラリアに海外旅行に行ったときの話。
ケアンズの郊外の、それこそ自然イッパイのところをレンタカーで走ってた。

………あれ。ん? これ、ここ、来たことあるよな。

と思ったんです。デジャブって言うヤツかなぁと思った。
あぁ、そこを曲がって車で20分で海岸があって……。
と思って、曲がって、……あぁ、そうそう。ここのね。この店……。


そういえば、オーストラリアの交差点は独特のロータリー方式だけれど、
初めてなのにすんごくなじんでるわ。

で、あぁ、ここ、この家、あら、隣……変わってるわぁ。
って昔懐かしいーって感じにさいなまれた。

降りてみて、うろついてみてたら、家から白髪のおばあちゃんが出てきて、
「あっ!」って二人とも声を上げた。



554 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/11/29(土) 03:22:20 ID:GXx0yKkX0
おばあちゃんは、レイミーさんっていって、その名前も聞き覚えがある気がした。
家に上げてもらって、そして飾ってある写真を見てびっくりした。
レイミーさんいわく「これは私のお母さんの若い頃」といった。
見てみると、外人さんなんだけれど、私そっくりの人が白黒写真に写っていた。

レイミーさんは二階に誘って、昔、自分の母がつかっていたという、
ミシンのある部屋を見せてくれた。

私は、あ、そうだ……あなたに、あげようと思って忘れていた……と、
ミシン台の横の引き出しを開けて、フタの裏の封筒を取り出した。
中には、古ぼけた小切手が一枚。
私は、ほんとうに、ここにいたんだな……って実感できた。

今も、たびたびレイミーさんとは文通をしています。



512 :自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/17(日) 01:37:08 ID:jVFm0n9I0
以前、レイミーさんという話をしたことがあります。
その後日談としてレイミー・エリオットというある女性の話をしたいと
思います。

彼女は、やはり私の前世の娘なのだと思います。

不思議な話ですが、レイミー・シルビアスという、私より50も年上の娘が、
やはり娘であるなと思えます。
私の作るホットケーキを何よりもおねだりをしてくるのです。
そのときの感覚が「まったく、この子はもう……」みたいな、
既視感を覚えます。

彼女の話によれば、私はアイルランドから1969年に当時娘のシルビアスから
オーストラリアに移民をしたそうです。
それから約10年の間若干の苦労にもめげず、小さな喫茶店というかカフェを
経営していました。

とにかく裁縫が好きで、たまたま懸賞で当たったミシンを使って、
アップリケを作るのが大好きだったそうです。

しかし、30歳の夏の頃にマラリアにかかってしまい、
本来なら快癒するはずがこじらせて永眠したそうです。



513 :自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/17(日) 01:38:58 ID:jVFm0n9I0
シルビアスの大好きだったのは、私が作るフィッシュ・アンド・
チップスだったそうで、逆にレシピ教えられる始末でした。
ただ、そこには日本的なセンスも入り交じり、私のF&Cはより
おいしいものとして、シルビアスの舌を悦ばせることとなりました。

そんなシルビアスが昨日永眠をしました。

おかしな話です。
私はまだ未婚で子供もいないのに、自分の娘を看取ったという
涙が流れるのを抑えきれませんでした。

夫に先立たれたシルビアスですが、近隣の人たちの温かいサポート
に支えられていました。驚いたのは老衰したエリオットに仲間達が
まるで「さも元気なように」普通に話をし、そして笑ってジョーク
を飛ばすところです。

「天国ってのはずいぶんいいところだぜ、それが証拠に誰もこっち
にもどってこないんだ。シル、お前がただでそこに行けるなんて、
いきなはからいじゃないか」

本来なら日本の方がもっと人情にたけていると思っただけに、なん
となく日本社会の劣化というか、崩壊をひしと感じました。

ほどなく娘は……永眠しました。
墓地にレイミー・シルビアスの棺を埋めました。
そのそばには私の前世であるエリオットの墓がありました。
そこには「風の中でいつかまた会える(I can see in the window)」
と一文が刻んでありました。



514 :自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/17(日) 01:40:14 ID:jVFm0n9I0
私の本名は『風会<かえ>』といいます。それが、あまりにできす
ぎていて、輪廻を信じざるを得ませんでした。
シルビアスは遺言を残していました。
ケアンズの郊外にある小さな家を私に贈与すると弁護士さんから教
えられました。国と国との境もあり、手続きは大変そうです。

私はまだ独身なのですが、実は近々結婚をします。
婚約者はまったく関係のないどう見ても日本人ですが、彼と私が知り合ったのは、アップリケの教室でした。

前世というものを信じる信じ無いかは別として、私の場合はやはり
前世めいたものはあるのだと思います。

先日、私は懐妊をしました。私は本当の意味で母となります。
もし、それがシルビアスの生まれ変わりであったとしても、
なかったとしても、私は人の心の継承を強く思っています。



515 :自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/17(日) 01:43:05 ID:jVFm0n9I0
★連投すみません
×彼女の話によれば、私はアイルランドから1969年に当時娘のシルビアスから
オーストラリアに移民をしたそうです。
○彼女の話によれば、私はアイルランドから1969年に当時娘のシルビアスを
つれだってオーストラリアに移民をしたそうです。


引用元:https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1313576195/