mystery

昼間にしか怖くてサイト開けないチキンな私が投下してみる。ちなみに実体験であり、自分の名前は「ゆか[仮名]」で進めていきます。

まだ私が小学生だった頃。当時4年生だった私は、猩紅熱(しょうこうねつ)という、今ではあまり聞かないような病気をやらかした。

本来この病気自体、深刻ではないらしいんだけど、私の場合数日たっても熱がさがらず、急性腎炎(きゅうせいじんえん)まで起こし、一ヶ月以上入院したあげく、2週間の自宅絶対安静という、小学生で遊びたい盛りの自分には酷な宣告をされてしまった。

しかし、やたらと血尿が出したりなんたりと、間違っても遊びに行きたいなんて思える状態ではなかったが・・・

で、実家は農家で父子家庭。

父はタクシー運転手でほとんど家にいる事はなく、祖父と祖母も夕方の5時まできっかり家にいないので、ひたすら何もないだだっぴろい家で一人ゴロゴロしていた。

する事もなく、ふと居間にある掛け時計を見ると針が変。というか、なんか止まってるような、進んでないというか、不思議な感覚。

当時は熱もあったし幻覚だったのかもしれないけど、厳密にいうと「逆に時間が巻き戻ってる」感じ。秒針が普通にカチカチちゃんと動いてるけど1分ずつ戻ってる。

不思議と怖いなんて感情はかけらもなく、逆にずーっと見ていると気持いい感覚・・・ふわふわとした。そんな感じになってきて、14時25分から巻き戻る掛け時計をずっと見てた。

その時、突然大勢の子供の声で

「ゆーかーちゃーん!」

と声がして我に返った。

うれしい事に、学年(当時過疎学校だったので6年間クラス等なかった)の全員が我が家にお見舞いに来てくれたのだ。先生引率の元、当時小学校から徒歩3分だった我が家へ(笑)

玄関のすりガラス越しにみんなの姿が見えて嬉しくてニコニコしながら迎えた。

ただ、自分の病気は感染病であるため、完全防備での久々の対面だったが、なにやら手紙を書いてきてくれており、みんな一生懸命読んでくれた。その内容も事細かに覚えている。早く元気になってねとかそんな内容。

普段はあまり仲良くなかった男の子達も、照れくさそうに千羽鶴をほら、とくれたり、先生が持ってきてくれた給食のプリン等がとにかく嬉しくて、22歳になった今でもそのときの光景は鮮明に記憶している。

・・・が、先日同窓会があり、私がその話しをしたところ、同級生21人(自分除く)全員が

「そんなお見舞いになんて行っていない」というのです。

もちろん先生にも確認をとりましたが、覚えてないなぁ、との事。

ちょっ、自分頭わいてんのかな?とガクブルしてたところ、たまたま会場のホテルでバイトしてた1学年下の後輩がその話を聞き、

「え、お前らいってたじゃん(笑)小4の頃だろ?」

と、なぜか彼は覚えている模様。

彼いわく、子供心に「お見舞いとはいえ、先生公認で授業さぼれていいな~」なんて思いながら我が家に向かう一行を見ていたとの事。

その一言で軽く会場がパニックになる騒動に。必死で全員が思い出そうと家族へ電話したり、後輩に電話したりと場の空気がおかしなことになってきた。

全員の家族も「ああそんな事あったねぇ」と確かに記憶にあるのだ。なのに、当の本人達にはまったく記憶がない。

まぁしてもらった側、してやった側で多少の気持の重みの違いがあれど、22人全員が「記憶からその部分が抜けている」事が気味悪くなり、なんとなく後味が悪いまま、その日の同窓会はお開き。

結局久々に連絡をとりあうようになった今でも、やはりみんなその当時の事はまったく思い出せない、というかそもそもそんな事あったのか?と言うほどにキレイに記憶がない。

文章にしていくと自分の文才の無さで、まったく恐怖感は出ていないけど、正直今でもかなり怖い。

オチらしいオチもないけど自分が経験した意味不明な恐怖体験。以降同級生が自分を見る目が、ややカワイソウな感じなのは秘密。