自転車

2013/10/07
怖い話なのか、びっくりした話なのか、奇妙な話なのか、痛い話なのか…どれともつかないけど書かせてください。

ちょうど三か月前の七夕の日。その日は日曜で、友人と遊んでチャリで帰る途中だった。信号が青になり、渡ろうと漕ぎ出したところで左折してきた車に轢かれた。

といっても、初めはチャリの前輪がぶつかって、バランス崩してコケただけだったんだけど、何を思ったかその運転手はバックしてきて、コケた俺の左足を轢き潰しやがった。

「えっ、ちょっ、まっ、がああああああああ!」

とバックから轢かれるまでの間の俺の焦りと、最終的な叫びでやっと運転手が止まり、降りてきた。降りてきた運転手は50代くらいの女性で、俺を見た瞬間

「ひいぃぃぃぃ!」

と叫んだ。いや、叫びだしたいのは俺の方なんだけど…実際叫んだし。

女「あ、あ、あの…大丈夫ですか?」

俺「アンタに轢かれたんだ!大丈夫なわけねぇだろ!なんでバックして轢き直しやがった!」

女「あの、最初電柱か何かにサイドミラーぶつけたんだと思ったんです…それで降りたらあなたが…」

俺「状況説明はいいから110番と119番!」

と、とりあえず警察と救急車を呼んでもらう。

俺は見事に左足首がグッチャグチャで即入院。女は警察に事情説明をして、その後入院している俺の所へ来て謝罪やら何やら…と入院してもしばらくは忙しかった。

で、びっくりしたというか奇妙…というか、そういった話がここで判明した。後日警察が病院に

「事故当時の状況を一応あなたからも…」と聞きだしに来た。

上に書いた通りの事を俺が説明すると、警察の方が頭をひねったり「うぅん…」と唸ったりした。

「どうしたんですか?女性と食い違う部分ありましたか?」

と聞くと、警察の方は

「いや、それがね…女性の話と、たまたま事故を見ていた通行人の話なんだけどね…」

と話を続けた。

なんでも、俺は瞬間移動したかのように、急に信号のど真ん中に現れたらしい。もちろん俺にそんな能力があるわけもないし、あったらチャリに乗るわけもない。

「車のライトで見えにくくなったりとか、夜だったんで見えにくかったとかじゃないですか?」

と聞くと

「いや、我々もそうだと思うんだけどね…ただ、通行人の話っていうのが、一人二人の話じゃないんだよ」

と警察は答えた。

「いきなり君が信号の真ん中に現れた。と証言したのが、事故を起こした女性、それと…通行人が四名」

「…嘘ですよね?」

「いや、我々もそう思いたいんだけど…ここまで証言が一致するとなると…」

そう言い、警察は事故当時ではなく事故が起きる前はどうしてたのかを聞いてきた。

自分は正直に友人と遊んでチャリで帰る途中にあそこで事故にあいました。と答えた。

そして友人と遊んだ時間、別れた時間、事故にあった時間、と詳しく聞いてきたので答えた。すると、警察の方は

「それ、本当に時間は合っていますか?」

と聞いてきた。

「えぇ…友人と別れた時に携帯で時間確認しましたし、110番した時間でしたらそちらの方が分かってますよね…」

と答えた段階で、やっと自分でも気付いた。

友人と別れた場所から事故現場まで、自転車だと飛ばしても20分はかかる。だが、自分は友人と別れてから8分で事故現場に行ってる計算になるのだ。

警察は当然

「その場所から事故現場まで、終始自転車で移動されてましたか?」

と聞いてきた。自分は

「えぇ…そうです…けど、おかしいですよね、時間的に」

と答えるしかなかった。警察も

「そうですね…」

とだけ答えた。最終的に、

「事故にあう前の行動は女性に言わないように、言ったら面倒な事になりかねないので」

と念を押され、それ以降事故の状況について警察に詳しく話を聞かれることもなかった。

自分は信号待ちしていた記憶もあるし、信号が青になった同時にチャリを漕ぎ出した記憶もある。でもここまでおかしなことが分かると…。

といった感じで、入院中やっとここに書き込めるネタが出来たと内心ウキウキしながら今日退院してきました。

見るだけなら奇妙な話ですが、実体験(というか事故る)となると怖すぎる…という話でした。

願わくば、あの時の女性や警察関係者の方、通行人の方々がこの書き込みを見ませんように。

以上です。