12/07/23
俺、メンテナンス会社に勤めてる。
客先の施設に常駐管理したり、不具合があると急行するなどいろいろなパターンがある。自分は巡回点検担当だが、夏休み期間中は普段受け持たない設備を交代で点検する。
都内の、あるビルでの話。
自分の受け持ち外のビルでメンテ作業を行うので、手順書を持って現地へ。最地下に行くには階段かエレベーターで地下〇階まで降り、そこから階段で下る。
手順通り受付でセキュリティカードをもらってエレベーターにかざしてエレベーターの最地下へ、そして階段を降りビル最地下へ。
薄暗いフロアで、配電盤を探し、フロア全体の明かりを点ける。パッと明るくなり、作業には何の問題もない。早速、手順にのっとり所定のチェックを行い記録する。
気になる点と言えば、ビル全体の大きさや構造から考えても、オーバースペックの設備があり消費電力もハンパない。
何なんだろう??と思いながらも、色々な客先があるし、大きい実験装置でも動かしてるのだろうと考えて、作業終了。
作業終了チェックしながらふと見ると、ハーフサイズのエレベーターらしき扉が。あれ?最地下行きエレベーターはなくて、階段だけだったが…荷物用かな??
何の気なしに扉に近寄り、セキュリティーカードをかざすと、スッと開いた扉。中は荷物用ではなく、明らかに人用。
覗き込んでみると、階数表示は地上から、いくつか飛ばして地下数階+自分のフロア。さらに下に〇階。乗り込んでみたい衝動に駆られたが、契約違反にもなりかねないのでやめておいた。
フロアの内線電話で管理質に電話し、警備員に案内され、地上フロアへ。
警備員:問題ありませんでした?
俺:そうですね、全部規定値ですし、休止機器もテスト運転したところ問題なしです
警備員:じゃ、受取にサインします
俺:そういえば、(エレベーターの事きいてみようか…)
警備員:はい?
俺:(いや、契約もあるしやめとこう)あ、勘違いです、すみません。
警備員:そういえば、先週まで担当されてた方、亡くなったそうですね
俺:は?あ、そうなんですか?(Kさんは今週頭から夏休みで、来週出勤のはずだが・・)
警備員:あれ?私そう聞きましたけど、間違いですかね?
俺:いや、私が聞いてないだけかもしれません
警備員:そうですか、私も聞き間違いですかね?あははは!
俺:では、失礼します。
休んだだけで、何だか妙な話になってるなあと思いながら、サービスカーで事務所へ帰ると
「Kさん、昨日、自宅で心不全になって亡くなったそうだ」と。
健康診断も問題ないし、社内のサッカー部でレギュラーやって、病気なんかに縁のない彼が?
そしてKさんの死亡はいっさい広報されることなく処理され、自宅のマンションも早々に売り払われた様子。家族も田舎に帰ったらしいが、Kさん友人によると、家族とも音信不通らしい。
それから1週間の間に、この時期には珍しく課長・課員の入替が。
そして、コンプライアンス教育と称して、契約内の仕事をキッチリやれ、客先指定外地域には立ち入るなといった事を厳しく教育された。
最初は俺がエレベーター覗いたのがばれたか?と思ったが、特に注意もなくほっとした。
今では俺がKさんの後を引き継いで業務を行っているが、一週間後、例のビルで点検し、受取にサインする時、警備員がボソッと、
「やはりKさん、亡くなられたようですね。まじめな方だったのに残念です」
なぜ、彼がKさんの死を知ったのかが未だに分からない。
コメント
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へんなエレベーターが怪しいものだったとして、いつもの担当者ではない人間が検査にきたので、「俺」が作業中に事務所に電話で確認したとか
>警備員:そういえば、先週まで担当されてた方、亡くなったそうですね
警備員が電話で知ったのが先で、「俺」が事務所に帰ってから聞いたのが後、という順番なら矛盾しないよーな気が。。。
秘密のエレベーターに乗ってたら報告主も急病の形で消されたかもしれない匂わせがよい。
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