古いマンション
06/08/12
これは、僕の中学の時の友達の西(仮名)の体験談です。

西の家は、かなり古めの14階建てマンションで、遠く離れた場所からでも目印になるくらいのでかさ。そこに、父親、兄との3人で暮らしてました。

部屋は、1411号。14階の一番端っこです。

エレベーターも設置され(当然だけど)よくかくれんぼや缶蹴りなどしました。今では考えられませんが、当時屋上は開放され遊び場になってまいた。

と言う事で、マンション全体が僕らの遊び場でした。ただし、外観は古いだけあって不気味、さらに自殺の名所でもありました…。

西がこの恐怖体験にあったのは、中学3年の時でした。

西はサッカー部で放課後、毎日練習に明け暮れてました。朝練はもちろん、夕方は真っ暗になってから帰るのが普通でした。

その日は、たまたま早くに終わり、まだ明るいうちに家に着いたそうです。1階の玄関を通り、2台ある内の右のエレベーターに乗りました。

そのエレベーターと言うのが、窓のついてるタイプの奴で、その階を通ると踊り場が見えるんですよ。だから、エレベーター待ちをしている人が見えるんです。

その日も、14階を押しいつものようにエレベーターに乗りました。14階につき、エレベーターを降りても結構部屋までは距離があります。

また、廊下はLの字型のなっており右を見れば外の風景が見える……。身を乗り出せば、下の駐車場も見えるわけです。

その廊下を西は歩っているたそうです。すると、屋上に人影が見える…。対面側の上の階…。西の部屋は14階ですから、上は屋上です。その人影はフェンスを超えて立っている…。

先に西にきづいたらしく、こっちをボ~っと見ていたそうです。ただ、夕日が逆光になってよく顔が見えませんでした。

そしてその人影は西から目線をそらし、下を見たそうです。そして、次の瞬間その人影は、頭から下に落ちて行きました。

ドスッ!!気持ち悪いですが、落ちた音まで聞こえたそうです。そして、下からは悲鳴が……。思わず身を乗り出し下を見ると、はるか下の駐車場の一部が赤く染まっていたそうです。

西は、走って家に帰り管理人に電話し、目撃者として後から警察などに色々聞かれたそうです。その自殺者は11階に住む専門学校生で、西とも顔なじみでした。

その後、3日間はなにも食べられなかったそうです。

それから、3日後。いつものように、西は部活で遅くなり真っ暗な中を帰ってきました。マンションにつくと1階の集会所でその人のお葬式が行なわれていたそうです。

「俺も線香あげなきゃ…。」

と考えながらエレベーターに乗りました。中には誰も乗ってません。いつもの窓付きエレベーター……。14階を押し、ボーっとエレベーターの窓から踊り場を見ていたそうです。

エレベーターは10階まで来ました。

「そういえば、あの人結構踊り場でエレベーター待ちしてたな~、なんか嫌な感じだな~。」

と思いながら、10階から11階へ…。その時の事を西は「なんか、嫌な予感したんだ。」って言ってました。

エレベーターの窓の上のほうに11階フロアーの窓の下のほうが重なる…。そこに、手が2つ“ペタッ”っとくっ付いている…。

よく、子供とかがそういうタイプのエレベーターでやりますよね。下から来るエレベータを覗きこんでるように…。そんな感じだったそうです。

誰かが西を覗き込んでいる……。
だんだんその人が見えてきます。

そして11階のあちら側には、間違いなくあの自殺者が、あの11階の専門学生が窓に手を付け、こちらを覗きこんでいたそうです。いや、覗いてたというよりは、睨んでた…。

エレベーターは、そのまま11階を、通過します。14階について西は走って部屋に戻り兄にその話をしたそうです。

この話を聞いたとき、思わず「ウソだろ!?」って言いましたよ……。でも西はこう言いました。

「本当だよ、実は俺1階で葬式やってるの見たとき、正直なんで、俺の見てる前で自殺したんだろ、迷惑だよって思ったんだ…。だから、あの人怒ったのかもな……。」

その後、西はすぐに線香をつけに言ったそうです、悔やみの気持ちを伝えるために……。

自殺者は最後に何を伝えたかったのでしょうか……。