
いきつけの居酒屋であった話。
5年ほど前、ある変わった常連客がいた。身なりのきれいな中年の男で、いつも焼き鳥数本と瓶ビールを頼み、小一時間で帰る。
何度もカウンターで隣になったが、話しかけても無視される。マスターとも注文以外の会話はなく、無口な男だな、くらいの印象しかなかった。
しかしある日、後から入ってきた他の常連客に向かって男か突然怒鳴った。今すぐ家に帰れ!女房を病院に連れていけ!と。
常連客は取り合わず、しかし男は訴えかける。だんだん口論気味になってきたところで、マスターが制止した。
常連客が家に電話すると、女房は早々に寝てしまったとのこと。俺たちはなんだか嫌な感じがして、常連客を説得し帰らせた。
俺が男にどういうことかたずねると、いつもこうだ、、みたいな愚痴っぽいことをぶつぶつといい、お代を払い帰ってしまった。
後日、先の常連客から聞いたところによると、女房は軽いめまいを感じ、大事をとって横になっていたという。店での一件もあり、なにか不気味に感じた常連客は女房を病院に運んだ。
病院で症状を話すと、すぐに様々な検査が行われ、なんと緊急手術となってしまった。くも膜下出血だった。
手術は成功し、目立った後遺症もなく、女房は無事回復したが、医師はこの状態でよく気がついた、大概もう少し進んでから来るものだ。しかし、それでは手遅れなのだが。というようなことを語っていたという。
男はその夜以来店には来なくなったらしい。マスターが言うには、
・たぶん男には予知能力みたいなものがある
・しかし、それのせいでなにか損をしてきた過去があり、塞ぎこんでいたんだろう
・どういうわけでうちの店に通ってくれていたのかはわからないが、会話しないとはいえ、よく顔をあわせる同じ常連客の不幸を黙ってみてはいられなかったのだろう
・なにか詮索されるのを嫌がり、来なくなってしまったのだろう
考え過ぎだとは思うが、そう思うとなんとなく筋道が通るような気もする。もちろん、こういった場でしか話せない、とりとめもない話なのだが。
男は嫌がるだろうが、出来れば詳しい話を聞いてみたかった。

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自分の態度のせいなのに「いつもこうだ」と拗ねて(マスターには塞ぎ込んでるようにみえたようだが)、2度と関わらないしまた別の知らない人だらけのコミュニティで生きていこうとする。
そういった能力なり預言なりを持っていても、うまく人付き合いして上手に諭したり水を向けることができる人がいる以上、このコミュ障能力者の「損」は自業自得としか。
1みたいに上から目線で説教じみた物言いする奴もいるだろうが本人からしたら大きなお世話だろう
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