
乳癌で入院してた母親がつい先ほど亡くなったと友達から連絡があった。
俺は納棺師(のうかんし)をしてて葬儀の事には詳しいので色々話をし、納棺をさせて欲しいと言ったら友達はこころよく承諾してくれた。
会社で説明すると、早退していいと言ってもらい納棺に必要な物品までくれた。
通夜が19時なので、式場移動の18時までには納棺を終わらせないと行けない。17時に式場の控え室に着き、あいさつもそこそこに親友の母のご遺体へお参り。
友達の遺族の方々に納棺に立ち会うか聞くと、みんな遠慮すると言った。
死に化粧が終わってから棺に御移動する前に呼びますと言い残し部屋へ。納棺の準備をしようと、上着を脱いだ時にガシッと腕をつかまれた。
腕をつかんだのはお爺さんだった。
お爺さんは凄い形相で
「おんしゃ我が〇〇(←多分母の名前)になにすんのじゃ!」
と怒鳴られ俺はかなりビビった。だってホント控え室(12畳程の広さ)には誰もいなかったし気配もなかった。
でも、友達のお爺さんだし俺は納棺のことを説明しようとしたが、お爺さんは怒りの形相のまま
「おんしゃぁ!〇〇をどこへつれてくきじゃがろ$%&&!!!!」(後半聴き取れない。意味不明)
「〇〇が△△(ふどうなんとか)の血をひいちょるがや$%&#」(おなじく聴き取れない)
「みことのしきみをたわわんかのじゃっていうたがや!!」(全然違うと思うけど、こんな感じのこと言ってた。やはり意味不明)
このままではらちがあかないと思い、一度お爺さんと外へ出て遺族の方々に説明してもらおうと一緒に部屋を出ようとした時、そこでふと違和感を覚えた。
(あれ?なんでこのお爺さん白の浴衣着てんの?)
納棺師だと見慣れてるので気づくのに遅れてしまったのだが、お爺さんが着てるのは白装束、いわゆる死に装束だった。
これはまずいと思い、とにかく一旦部屋を出ようとお爺さんの腕を振り払おうとするが、全然振りほどけない。
必死につかんでる指を引き剥がそうとしてるとお爺さんが言葉を発する。
「そげなことで〇〇を連れ去るつもりじゃっとのやな。むだだじゃこのあっきちょうぐ(?)めが」(ここもニュアンス的に書いてます)
そういってニタッと笑うと入り口とは別方向(炊事場のある扉の方)へ俺を引きずっていく。本気でやばいと思った俺は必死で抵抗するもお爺さんの力はすごかった。
仕事柄各宗派のお経や祝詞(のりと)はある程度覚えてはいるがとっさには出てこない。やばいやばいやばいやばい、これしか頭になかった。
そのとき入り口の扉が開かれ、ご遺族の方の男性(50代後半ぐらい)の方が部屋に入ってきた。
そのとたん、お爺さんが「もう少しじゃったのにな」と言ってご遺族の男性が入ってきた入り口の方へ猛ダッシュ。
男性は突然のことに放心してたが、お爺さんが突進してくるのにびっくりしてた。そして、ぶつかる!ってところでお爺さんはスッと消えた。
俺と男性はぼうぜん。2分ぐらいぼうぜんとしてたかもしれない。それから一旦二人で部屋の外へ。
友達に今起こったことを説明した。友達いわく、お爺さんは6年前に亡くなってる。
俺が見た容姿を説明(ハゲていて、かなりガリガリに痩せていた)したが、全く違うとのこと。しかも、友達の宗派は神道なので死に装束も着てないとのこと。あと母親の名前は〇〇って名前じゃないってことでした。
友達に説明してるうちに落ち着いたので今度は俺と友達、そして男性の3人で部屋入り無事友達のお母さんを御納棺させて頂きました。
納棺師をやってて、初めて霊体験をした話でした。この話の後にも先にもいっさいこういったことはありません。
コメント
コメント一覧
納棺ってたった1人でやれるもんじゃないんだけど。
死んだ人の体がどんだけ重いと思ってんの?
納棺の前に湯灌しなきゃならんけど、それは遺族がやらなきゃいけないし立ち会わなきゃいけない。
納棺師は死化粧をする人とは別。化粧の匂いがつくからね。
本当に納棺師?
当日夜にもうお通夜?よく式場を取れたな。
葬式経験値が一桁の私でも違和感だらけ。
それに関しては、亡くなった当日に通夜をしたいと言う要望にも応えられるのが葬儀屋。
直葬だの火葬のみだのが騒がれる前からある。
ただ、神道ならそんな簡単ではない。かなりの儀式(祭礼)があって、どれも省けないものばかり。
もうひとつ、「神道だから死装束を着ない」なら、納棺師が先にそれを知らないのはおかしい。死装束に着替えさせる(時にそうしない家族もいるが)のが納棺師の仕事だから先に伝わってないわけないし、準備するものも違う。
着替えが済んでいたなら、納棺師なら分かるだろ。
何度も葬式あげてきたけど、湯灌とやら、やったこともないし立ち会ったこともないよ
オール葬儀屋任せ
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