
じいちゃんはこばなしが好きで、実体験かどうかわからんが不思議な話をよくしてくれた。その中で怖かったヤツを
じいちゃん「わしは人を殺した。戦争中の話じゃなくて最近の話だ」
雨の日だった。
俺はじいちゃんボケたのか?とか思ったものの、まぁせっかくだし詳しく話を聞いてみた。
俺「誰を?」
じ「わからんが小さい女の子」
俺「いつ?」
じ「先週の金曜日」
俺「どーやって殺した?」
じ「沼に放り込んだ」
俺「なんでそんな事を?」
じ「自衛のため」
自衛ってアンタ…
なんとなく嫌な予感がした。続き聞こうか迷ってたらじいちゃんが勝手に話しだした。
じ「とにかく体を引っ張ってくる。頭やら腕やら足やら」
手首あたりを見せてくれた。子供の手みたいなアザがうっすらついてた。
じ「沼の前は車道に突き飛ばした」
俺「それは同じ子?」
じ「そうだ」
勘弁してくれと思いだした時、玄関の戸がガタガタガタッと鳴った。
じ「家に入ってきたか」
いやいやいやいや、鍵してるし開いた音しなかったし気配もなかったし何言ってんのこの人。足音はしないが、でも確かに何かの気配がある。
じいちゃんは荒縄みたいな太いヒモをタンスから出してきて、雨ザーザーの庭に出て行った。
壁のほうでかがんだと思ったら、荒縄で何かを締めた。したことないし見たこともないけど、小さい子供の首をヒモで締めるとあんな感じかなぁ。
しばらくしてじいちゃんが立ち上がった。小さい子供なんてもちろんいなかった。
じ「体ふくもん持ってきてくれ」
部屋に上がったじいちゃんが、濡れた服を脱ぎながら言った。
俺は脱衣室でバスタオルを持ってきてじいちゃんに渡した。が、まっすぐじいちゃんを見れない。腕のアザが増えてないすか?
足元に視線を落としてたらじいちゃんの足首に泥がついてた。
俺には泥が手の形に見えた。
じ「今日は二人殺した」
以上です。
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とても良くできた話だ、感心する
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