
18/06/21
子供の頃、三人兄弟だったから三段ベッドで寝ていた。
長女の私、次女の妹、長男の弟。一番上はお姉ちゃん特権で私がもらった。
ある晩、雨の降る音で目が覚める。トイレに行こう、そう思って、三段ベッドのハシゴを降りながら、窓の外を見た。
外の街灯の下に、髪の長い女の人が立っていた。白いワンピースのような服を着ていて、暗い中でも目を引く。
結構な雨が降っているのに傘を差していなかった。
だから、何となく怖くなってトイレに急いで、ベッドに戻るときは上まで登りたくなかったから、妹が寝る真ん中のベッドに入った。
翌朝妹からは文句を言われたけれど、寝ぼけてたとごまかした。
妹はそれからしばらくして、お母さんと寝たいと言い出すようになった。甘えん坊なところがあったから、小学校を卒業するまでお母さんと寝ていた。
中学に上がるとき、妹が
「ベッドを交換しよう」
と言い出した。
じゃんけんで勝った順で、妹が一番上、弟が真ん中、私が一番下。正直上に登るのがめんどくさくなってきた頃だったから、ちょうどよかった。
妹は段々と夜眠らなくなっていった。正確には、ベッドで寝なかった。
妹がインフルエンザになって、家に一人になるときに、ようやくその理由を知った。
「女の人がベッドの上から出てくるの!一番上のベッドになったら天井から!だから一人で寝たくない!」
言いつのる妹に、どんな女の人なの、と聞いた。
「白いワンピースを着た、髪の長いびしょ濡れの女の人」
それを聞いた瞬間にゾッとした。たぶん、私が昔見た女の人に間違いなかった。
あの日真ん中ベッドに寝たから、女の人は、自分を見ていたのが私と妹のどちらかわからなかったのかもしれない。
私があのまま一番上のベッドに戻っていたら……。妹ごめん。私のせいだ、とは言えなかった。
その後妹はお祓いに行って、その後は何事もなく暮らしている。
投稿者:名無し様
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