流木、漂着物、仏像、怖い話

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本当にあった怖い名無しsageNew!投稿日:2013/01/29(火)22:27:07.08ID:jNk3F+l20
中学校2年のときの話。俺は家は漁師じゃなかったが海辺に住んでいた。

というか前の浜から背後の山までせまくて細長い土地の町だったんで、ほとんどの人がが海辺に住んでると言えるんだけど。

それで今でいうビーチ・コーミングを趣味としてた。当時はそんな言葉はなかったけど、簡単にいえば漂着物の収集のこと。

日本海側の北の方だったから、熱帯の貝やヤシの実なんてのはまず見られなくて、日本にない漢字やハングルが書かれた浮きなんかが多かったが、ときおり変わったものもあった。

ビーチグラスはもちろん、古い陶器の破片や変な形の魚の骨とかルアーとか。あと流木はあまり興味はなかったんだが、大きいのを家に持って帰ると、当時まだ生きてたじいさんが、皮をはいで磨きあげ置物にした。

中学校の仲間や小学生でもやってる奴がいたんで、そいつらより先にと思って、朝の6時頃には浜にいて見て回ったりもした。

11月頃だったと思うけど、海が荒れた翌日で何か収穫があるかと浜に出てみたら、テトラポットの隙間に何か赤茶色の大きなものが引っかかってるのが見えた。

近づいていくと何かの像のようなもので、自分の背丈よりも大きく見えた。顔のほうを下に沈めて背中が出てるんだけど、お寺で見る仏像とはまったく違って頭が大きく、いびつな形をしている。

木目が出ている部分があるんで木彫りだと思った。


957:本当にあった怖い名無しsageNew!投稿日:2013/01/29(火)22:27:42.45ID:jNk3F+l20
一人ではどうにもできないので、家に戻ってじいさんを呼んできた。

じいさんも始めて見るらしく、首をひねりながら人を集めて引き上げてみると言った。俺はもう学校にいく時間になってたんで、家に戻った。

・・・どうなったか気にしながら学校から帰るとじいさんが待ってて、像を引き上げて町の神社脇の、おみこしなんかをしまってある倉庫にとりあえず入れたとのこと。

神主にも見せたけど何ともわからなくて、県都の大学の先生に連絡したらしい。

気になるだろうから今から見にいってみないかと言われた。

じいさんと連れだって行ってみると、倉庫の鍵は開いていて、おみこしや消防団のポンプ車がある奥に、今朝の像が立てかけてあった。

像は貝や海藻なんかをこすりとって綺麗になっていたが、改めて見るとやっぱり奇妙な形をしてる。

頭が大きいと思ったのは兜でのたくったような飾りがついてて、その下には目が落ちくぼんで長い顔がある。

日本のものではないのかもしれないと思った。胴の真ん中あたりがぐるりと何かでこすれたように、ささくれだっている。すごいものを見つけたのかもしれないと思ってちょっとワクワクした。

その夜、像を置いた倉庫から道を挟んだ向かいの家が火事になった。狭い町なので、消防車が走れば町の人はみんな外に出てくる。

気づくのが早かったせいか、火事はボヤ程度で済んだけれど原因は不明。検証では外から火が広がっているとのことだったので、放火が疑われてるという話だった。

たまたま消防ポンプにも貯水池にも近かったんで他に延焼はなかった。


958:本当にあった怖い名無しsageNew!投稿日:2013/01/29(火)22:28:31.85ID:jNk3F+l20
数日後、火事を出した家の奥さんと高校の同期だった母親が、奇妙な話を聞いてきた。

火事になった夜に洗濯物を居間に干していると、コツコツと縁側のガラス戸を叩く音がする。

何かと思って見にいってみると、暗闇の中からぬっと顔が出てきてサッシに外から張り付いた。

顔は日本人には見えず、両目はぜんぶ白目だった。その時に北国の厚いサッシごしなのに「さむい、さむい」という声が聞こえてきたそうだ。

あっ!と驚いて後ろに倒れたときに、車庫の前から火の手が上がってるのが見え、なんとか叫び声をあげて家族を呼び、119番通報をした。

消防にこの話をしたら、放火犯かもしれないからと、警察もまじえて色々聞かれたそうだ。

ただ奥さんは、あれは絶対生きた人間じゃなかったと強調してたという。

それから数日して、初雪が降った日の夜に変な夢を見た。

腹のあたりがすごく痛くて、下を見るとぐるぐる縄で柱か何かに縛られていて身動きがとれない。

疾走感があって潮風が顔に当たるんで、前を見ると荒れた海がある。船の舳先(へさき)に縛りつけられているんだとわかった。

両手は縛られていないんだけど、拝むように手を合わせた形になっていて動かせない。なんとか手のひらを離そうともがいているうちにも、波がどんどん通り過ぎていく。

背後で「ジーサイ、ジーサイ」と何人か叫んでいる太い声が聞こえる。

かなりの時間暴れていた気がするが、やっと手のひらがはずれて、その拍子に目が覚めたと思った。

目を開けるとすぐ前に顔があった。小さい電球しかつけてないのにはっきりと見えた。

顔はつるっとした坊主頭で濡れていて、大きな目はどっちも白目。片方がぷちゅっとはじけて、中からフナムシが這い出してきた。

顔はだんだん下がって俺の肩のあたりにきて、耳元に口を近づけて「・・・さむい、さむい」と言った。

そのときサイレンの音がして今度は本当に目が覚めた。部屋を見回しても何もいなかった。夜中の3時過ぎだった。


959:本当にあった怖い名無しsageNew!投稿日:2013/01/29(火)22:29:24.97ID:jNk3F+l20
自分の部屋から下に降りると、家族も起き出してきてた。

俺はさっきの夢の話をする間もなく、防寒をして一緒に外に出た。この前のボヤのときより騒然としていて、そうとう大事のような感じがした。

家族と気配がする方に歩いて行くと通りにはぞろぞろ人が出ていて、火事は神社だということを聞いた。

人の流れについていったら、高く煙が上がってるようだ。さらに近づいたら火がちらっと見えたが、それ以上は規制されていて進めなかった。

後日わかったところでは神社は全焼。それからあの像を置いていた倉庫にも燃え移り、近くの家にも被害があったが、幸いなことに死傷者はなかった。

倉庫は完全に焼けていて、あの像も燃えてなくなってしまったのだと思う。

今回も放火の疑いが強いということで、長い間捜査があったらしいけど、いまだに犯人は捕まってないんだ。


転載元:洒落にならない話を集めてみない?