不思議

06/02/04
ある夜、安アパートに一人暮らしのOLのA子さんは、 
ふと目が醒めた。どちらかと言えば寝つきが良い方で、 
一度寝ると朝まで目が醒めない性質なのだが、 
その夜はなぜか目が醒めてしまった。 
そして何となく違和感を感じる。 

何か部屋の中にいるような気配を感じる。 
周囲を見た。どうやら気配の正体は、窓際の棚の上の 
14型の小さなテレビの付近にいるようだ。 
しかもそれはザワザワと沢山の人がいるような気配だ。 
もちろん目をやってもそこに人はいない。 

どうにも嫌な感じが続いていると、テレビの横に 
置いてあった小物がコトンと落ちた。 
「!?」っと思い、ジッと目をこらして見ていると、 
テレビがズズッと動いた。 
彼女はむくり半身を起こして見た。 
テレビの周りには沢山の人がいた。 

身長20センチぐらいの小さな人が10人ぐらい、 
必死の表情でテレビを押していた。 
彼女は、まだ夢の続きを見ているのかと彼らをジッと見た。 
ふと彼らの動きが止まって、彼らも彼女をジッと見た。 

そして彼女に自分たちが見られたことを察した彼らは 
ボソボソと何事かを話し、合図し、全員で一斉に力を込めて、 
窓枠からテレビを外に引きずり落とした。 
残った小人たちは、ピョンピョンと窓枠をとび超えて出て行った。 

「夢だな…」A子さんはボソリ呟くと再び眠った。 
翌朝目覚めると、テレビは無かった。 
テレビを置いてあったところには、テレビを引きずった後と、 
無数の小さな足跡が残っていた。 
窓にはしっかりと鍵もかかっていた。 

その後、A子さんの部屋に、テレビは戻ってきていない。 


引用元:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1139215060/