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18/11/24
  もう半世紀近くも前の実話です。

四国八十八ヶ所参りの札所、その中の1ヶ寺で社会的事件性の有る事が巷で噂になっていた事があります。

謂わゆる「丑三つ参り」という藁人形による呪咀ですが、現場を見付けた者が疑いが掛かる特異性を持ち、調査に行った警察官が現実に疑われたようです。

中学時代剣道部で慣らした私と友人は肝試し気分でこの藁人形騒動に挑戦すべく、深夜自転車を駆って出掛けました。

丑三つは夜中2時ですね⁉︎  崇徳上皇の墓もあるこの寺の本殿からその墓綾への坂道に立派な大木が有り、深山の質量の高い闇の中でその時幽幻の小さな灯りが見えて仕舞いました。

忍び足で恐る恐る近ずく…人の汚物、体液、垢と汚れの様な強烈な悪臭に目眩がしましたが、木に釘を打つ老けた女性は気付いてない様子でただ一心不乱に何事かを唱え、金槌を振っていました。

友人は何かの作業と間違え、「オバサン!釘はこうやって打つんだよなぁ!」って、よせばイイのに金槌を取り上げ打って終いました。

しかし其の女性の風貌というより形相を横目で見るや卒倒して倒れて仕舞いました。

鬼が憑いたとしか思えない其の面相が呪うというより呪われて仕舞っていた訳で、友人はその場で気絶、鬼女は次に私に金槌を振って来ましたが私はというと立ったまま気絶し、直ぐ横の川へ堕ちる処を小枝に救われた状態になりました。

後で頭部に打撲が見つかりましたが、鬼女が振った金槌の疑い濃厚と出ました。

後々に噂が広まり、他の中学剣道部員達も押し寄せて大変な騒ぎになりましたが、結果的に私達の惨敗でした。

犯人は逃走し不明、未だ其の精神的な後遺症に私達は苦しんでいます。


投稿者:山幸彦様