インコ

09/08/28
2年くらい前から、飼っているオカメインコのムウちゃんについてのブログを始めた。

当初は、あまり記事を誰も見に来てくれないし、コメントも残してくれないので結構淋しかったんだけど、だんだん他の人のブログにコメントを残したりしていくうちに仲間が出来てきて、自分が書いた記事にもコメントが結構つくようになっていった。

その中の一人にAさんっていう結構人気のブロガーがいて、その人のブログも楽しかったし、残してくれるコメントも毎回適当なお世辞とかじゃなくて、興味のある記事にだけ的確なコメントをくれて嬉しかった。

ただ少し気になった事のは、Aさんは少し鬱気味の事が多く、沈んでいる時は「死に関する記事」が多かった。

Aさんの記事にはいつもたくさんのコメントが書かれていたが、死に関する自殺願望的というか自虐的な記事には、他のブログ仲間たちも困っているようでコメントはあんまりされていなかった。

私はあまり暗い記事を書くのは嫌だったので、常に前向きなキャラを演じて明るい記事しか書かず、Aさんの暗い記事にも前向きでマイペースな明るいコメントを残した。

Aさんとのブログの交流は1年ほど続き、ある日インコブログのオフ会があるので参加しないかと誘われた。

他にも知っているブロガーさんも参加するみたいだし、ちょっと顔を見てみたいという気持ちがあって参加することにした。

オフ会は楽しく時間が過ぎた。Aさんも思っていたより爽やかな好青年で話も弾んだ。しかしAさんは酔ってくると

「僕が生きているのは君がはげましてくれたからだ」

と何度も言いだした。最初の内は自分も

「え~?それが殺し文句ですか??」

とか

「モテる男の人は言う事が違うね!」

と笑ってたんだけど、あまりにも真剣にしつこく言ってくるので周りの空気とかもおかしくなって来ちゃって、何となく話を濁してさっさと席を移動して別の人と話してその日のオフ会は終わった。

次の日、自分のブログを見てみると

「昨日は酔っ払っちゃってごめんね。軽蔑されちゃったかな?」

と、Aさんからコメントが入っていた。私はとりあえず

「全然ですよ!私の酔っ払った姿なんてもっとドン引きものです。」

と返信した。

それからAさんからのコメントは記事を投稿していなくても毎日来るようになった。

コメントは他愛のない内容なんだけど、他の人からも丸見えで周りの人にどう思われるかも気になる。最初は毎回返していた返事もだんだん面倒&薄気味悪くなって、

「最近忙しくて更新・コメントできません。本当にすみません。ムゥちゃんは元気ですよ。」

という内容の記事を投稿して、コメント欄を全部非設定にして自分以外何も書きこめないようにし、更新も停止した。そうすると今まで

「またAさんからコメント来ているのかな?」

ともやもやしていた気持ちがなくなって、すごくスッキリした。

その後一カ月ほどブログからは離れていたんだけど、今まで親しくしてもらっていたのに、よく考えると自分のやっていることは失礼だったのでは?

と思い始めて、せめて仲間のブログの記事を見に行こうと久しぶりに仲間のブログを訪問してまわった。

Aさんのブログは正直迷ったんだけど、嫌がらせをされたわけじゃないので無視をするのもなあ~と思い、距離を取りつつ付き合って行くって事で彼のブログも訪問することにした。

TOPには

「悩みの相談」

と題付けされた記事は私の事が書かれていた。あるブログ仲間にいきなり無視し続けられて、もう眠ることもできないと。

冗談じゃない!

でも今なら知らばっくれて「忙しくてごめんね。」とコメントを入ればフォローになるかと思いコメント欄を開いてみると彼の仲間たちによってすでにたくさんのコメントが書かれていた。

「Aさん優しいから勘違いしちゃったんじゃない?放っといた方がいいよ」

「きもいな。その勘違い女。」

「その女のブログ見てきたけど、サムイな。自己満足?」

「飼っているインコも、なんか目が変じゃない?ってか、ウンコ顔」

「他人ごとながらムカつくわぁ~」

「本人の写真あれば2chにさらそうか?」

と、Aさんが結構人気ブログのためか、私の悪口のオンパレード。しかもどんどん下に行くにしたがって笑えないものに変わっていった。

「女のブログの写真見ると、住んでいるのは〇〇町だな」

「〇〇町だとうちの近所だぞ。解析する?」

そこまで読んであわてて自分のブログに戻り、全部削除した。もう二度とブログなんかやらないと思った。

その後どうなったかは、分からない。私の家は割り出されたのだろうか?

でも仕事で留守が多いし、家にいても居留守魔なので玄関の呼び鈴が鳴っても出ないし、もうこんな嫌な事忘れちゃえばいいか。

珍しくムゥちゃんが何か長文をしゃべってる。

何を言ってるのかな?と、鳥かごを見るとムウちゃんの片足が変な方向に曲がっていた。

そしてムウちゃんはこう叫んだ。

「ムゥチャン、シンジャウヨ。ツギ、ムシシタラシンジャウヨ。」