山奥の廃墟

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本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日)01:12:45ID:L3tRG75G0
これは先輩の友人が体験した話だ。

その友人にはまだ十代の妹がいた。妹は高校中退した後、ふとしたきっかけでホスト遊びにはまり、ちょっとした借金ができたそうだ。

そしてお決まりのコースよろしく、相手のホストから闇金を紹介され、風〇勤めすることになった。

けれど彼女は三日ともたず、せっぱ詰って家の金に手を出したという。


210:本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日)01:13:24ID:L3tRG75G0
もともと実家は土建屋をやっていて、バブルの頃は羽振りも良かったそうだが、その頃には、かなり経営も行き詰っていたらしい。

金を使い込まれたことがきっかけになり、親の会社は不渡りを出し、ついには倒産したそうだ。

住んでいた土地も追われ、一家離散。彼女は自分のしでかしたことを、自殺することでつぐなった、というか逃げ出したのかもしれない。

妹思いだった兄は、深い悲しみが激しいいきどおりへと変わり、闇金を紹介したホストに復讐することを誓う。


211:本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日)01:14:04ID:L3tRG75G0
ただ、失意の両親をこれ以上追い詰めるような真似だけはしたくない。そこで先輩に相談したところ、ちょっと怖い思いをさせてやるか、となったそうだ。

ある日の朝早く、酔っ払って店を出るホストを待ち伏せして、先輩ら三人でさらったそうだ。車のトランクに押し込み、連れて行ったのは山奥の廃墟になったモーテル。

荒れ果てた一室に、手錠をかけたままのホストを監禁。先輩の友人は、あらかじめ準備していたものを取り出し、ホストの前に置いた。


212:本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日)01:14:51ID:L3tRG75G0

「この写真の女の子を覚えてるな」

それは亡くなった妹の遺影だった。

「〇〇はおまえに詫びてもらうまで成仏できないって、夜な夜な枕元に立つんだ」

遺影の横に、白い布で包んだ木箱を並べる。

「一日かけて謝れ。今夜枕元に出なかったら、迎えに来てやる」

この話がどこまで本当なのか、先輩は分からなかったと言う。

ただ、喉の渇きを訴えるホストに、その友人は自らペットボトルの水を与えたそうだ。その姿は、本当に妹に詫びて欲しいように見えたらしい。


213:本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日)01:15:40ID:L3tRG75G0
翌朝、明け方に三人で集合し、再び山奥の廃墟へと。みんなかなり緊張しながら、部屋のドアを開けると、

・・・そこはもぬけのカラだった。

手錠は片方が洗面台の配管にかけられていて、身体の自由はきかないはずだった。それでも、おもちゃの手錠。釘一本で簡単に開けられるのかもしれなかった。

財布や携帯は取り上げてあったが、モーテルの目の前は旧道。まばらとはいえ、地元の車の往来はある。

「逃げやがった」

先輩らは周りを探すのをあきらめ、車に戻ることにした。その友人は遺影を脇にして、両手で木箱を持つと、声を上げた。

「えっ、何だこれ」


214:本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日)01:16:14ID:L3tRG75G0
木箱の中に骨壷が入っているものだと、先輩は思っていたそうだが、違ったそうだ。

「いや、ただの箱だよ。納骨は終わってる。びびらせるつもりでさ」

友人が白い布をとくと、フタつきの木箱が現れた。

「中身はからっぽのはずなんだけどな」

フタを開けると、中身はいっぱいの黒土が。

「なんだこれ」

箱をひっくり返して土を落とすと、こぶし大のかたまりが一つ出てきたそうだ。先輩と友人が間近で確かめようとすると、鼻を突く異臭がしたという。

かたわらにあった木の枝でつつくと、それはひからびたミイラのように見えた。

「これって胎児じゃねえーのか」


215:本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日)01:17:24ID:L3tRG75G0
先輩と連れが顔を見合わせていると、震える声で友人が言ったそうだ。

「妹はあいつを連れてったのかもしれない」

二人がぞっとして友人を見ると、さらに言葉を続けた。

「遺書に書いてあった。あいつと子供と、三人で暮らしたかったって」

後日、先輩が語ったのは、多分、その友人がホストを殺したんじゃないかな、とのことだった。

先輩も、その友人と連絡が取れなくなって、数年たつという。





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