ペルシャ猫
16/08/06
都内某所で一人暮らししてた時の話。3階建てアパートの2階に住んでたんだ。

今ぐらいの蒸し暑い季節で、寝る時は窓の近くに布団を敷いて窓を網戸の状態にして扇風機を回して寝てた。(エアコンあったけど、就寝時エアコンだと高確率で体調崩すからつけてなかった)

夜中に突然目が覚めたんだ。夜中で電気も消してるのに、辺りが妙に青白く見えた。時間確認しようと体を動かそうと思うのに動かない。金縛りだ。

疲れてんのかなぁと時間確認はあきらめて再度寝ようとしたら、金属音ていうのかな、鉄製の物をぶつけた時みたいな音が耳元で鳴り響いた。

カン!カン!ガン!ガン!って。

なんだ?と思って目を開けたら、腰の曲がった老人みたいな影が、布団の横に立ってる。よく見たら手に工事現場で使うようなシャベルを持ってた。

ガンガンいってたのは、その老人の影がシャベルを床に叩きつけてた音だった。穴でも掘るかのようにガンガン床に打ち付けてるんだ。

そしてゆっくり布団の周りを歩き始めた。時おりガンガンとシャベルを打ち付けて。

よくわかんないけど殺される!ってその時は思った。なんとかしないと、って思うけど体は動かない。目だけでその老人を追ってたんだけど、フと別の気配感じて網戸に目をやったんだ。

そしたら真っ白い猫が網戸をすり抜けて入ってきた。フワフワの毛並で。ペルシャ猫みたいな長い毛の。

すーっと入ってきて、金縛りで動けない俺の胸の上に座った。ずしっとした重みを感じたから、リアル猫だと思ったねw野良猫が入ってきたのかとw

そしたらその猫、ずっとシャベル老人を凝視してる。シャベル老人は徘徊をやめて立ち止まってる。老人と猫がにらみ合いしてる状態。猫の下敷きの俺。

「なんだこれ…」と思ってたら猫が威嚇の声を出したんだよ。フーッとかシャーッみたいな。そしたら老人が明らかにビクッとして、シャベルをガンガンガンガン床に打ち付け始めた。

それを受けてか、猫が立ち上がり(胸の上で)毛を逆だててさっきよりも大きい鳴き声で威嚇したんだよ。時々猫同士がケンカしてたりするじゃん。あの時の声に似てた。

猫の威嚇にさらにびびったのか、老人はガンガンするのやめて、すいっと消えた。それでも金縛りのままで。エエエエエって思ってたら、猫が俺の顔に頭すりつけてニャーンとカワイイ声で鳴いて。また網戸からすーっと出て行った。

その瞬間金縛りが解けて、ガバッ!と起き上がったね。時間確認したら夜中3時回ってた。

あの老人がなんだったのかもわからないし、猫にも覚えがない。俺は猫を飼ったことがないんだ。だから恩返し~とか昔飼ってたペットが助けてくれた~的なことはない。

当時近所に人なつこい野良がいて、たまになでたりしてたけど、その子は黒猫だし。

正体は不明だけど助けてくれたのかな、と思ってる。猫飼ったことないだけで好きだし、もしそうなら嬉しいと思う。

ちなみにそのアパート、俺が引っ越してもう5年くらいたつけど、最近俺が住んでた部屋の隣で変死体が発見されました。