病院
13/08/12
俺は看護士なんだけど5年ほど前にあった怖い話。

あの日もこんな暑い夏の日だった。

夕方ごろに一般病棟で亡くなった方がいた。40代の女性で、たしか末期のガンだった。昼頃から容態が急変し、集中治療室へ運ばれたが家族に見守られながら亡くなった。

その方のいた病室は2人部屋だったが、もうひとつのベッドは使われておらず、亡くなった方のベッドもすぐに片付けられ空き部屋になっていた。

俺は、夜勤で午後7時半に出勤し、申し送りでその方が亡くなったこと、部屋が空き部屋になったことを知った。

しばらく日常の仕事に忙殺され、センターで書類の仕事をしてたとき、突然ナースコールがなった。

他の夜勤のナースが電話をとろうとしたが、ナースコールの発信場所を示すランプを見て硬直していた。今日患者が亡くなったベッドから発信されていた。

俺の方を見ながら恐る恐る受話器をとって、すぐに短く悲鳴をあげて受話器をおいた。

「どうした?」

って駆け寄ると

「うめき声が聞こえた気がする」

とのこと

「この部屋って空き部屋だよね?」

って聞くと、うなずいてる。俺が勇気ふりしぼってセンターから電話をかけてみたが、無言…

しかし、このままほっとくわけにもいかない。トイレに行った患者が気分が悪くなって、空き部屋に駆け込んでナースコールを押して気を失ったのかもしれない。

もう一人のナースをナースセンターに残し、俺一人でその部屋を確認しに行くことになった。

部屋までシーンとしてる廊下を歩きながらだんだん怖くなってきて、部屋の前で深呼吸して勇気をふりしぼってドアを開けると、やはり誰もいない。

「こりゃイタズラか?」

って思いながら一応ベッドのナースコールが正常か確認しようと押して見ると、ちょっとしてからあのナースの短い悲鳴が聞こえた。

俺は飛びあがってダッシュでセンターに戻って

「何あったの?」

ってナースに聞いたんだけど、きょとんとした顔で「どうしたの?」って帰ってきた。ナースコールも鳴ってないとのことだった。