
06/01/19
俺は安アパートの2階に住んでいる。
夜中、なにやら騒がしくて目を覚ました。
消防車のサイレンや鐘の音が鳴り響いている。
レム睡眠の途中で目を覚ましたらしく頭がクラクラする。
サイレンの音は一つではない。
火事らしい。それもすぐ近所だ。
ベッドから這い出して窓を開けると、となりの家屋の少し向こうの夜空が
オレンジ色に輝いて染まり、吹きあがる黒煙のなかを炎が舞っている。。
焦げた匂いが風にのってただよってくる。
避難した方がいいのだろうか。
隣の部屋の若い会社員も窓から顔をだしたので、俺は声をかけた。
「ずいぶん近いですね」
「うん。●●ハイツじゃないかな」
俺は通学途中の路地にある白いモルタルアパートを思い出した。
「避難した方がいいですかね」
「着替えて貴重品まとめておいた方がいいかもね」
そう言うと会社員は顔をひっこめた。
俺もスウェットを着替えて、荷物をまとめはじめた。