19/02/19
今から25年くらい前の話だ。
残業を終えて路線バス経由で自宅近くまで移動、私鉄路線をまたぐ長大なスロープ式陸橋をゆっくり歩いて越えて行く。
最頂部に立つと行く手の夜の街が見渡せた。前方頭上に巨大なレンズ雲が浮かんでいた。
時刻は10時過ぎ、季節は秋口だったと思う。
夜歩きする人間なら知っているだろうが、たまにこんな夜がある。真夜中近いのに空にはかすかに青味が残り、雲がはっきりと見える夜。
陸橋の上で立ち止まり、しばらく夜空を見上げているうちに、レンズ雲の底面を薄い光の染みのようなものがゆっくり移動しているのに気付いた。