小学校高学年のときの自宅での体験。
家族が揃っていたので日曜日のことだったと思います。
夕方の4時ごろになって、母親が美容院に行くために家を出て行きました。
「一時間ぐらいで帰ってくるからね」
と言ってたのに、夜の7時を回っても音沙汰がありません。
母は、一人で外出するとまめに連絡を入れるほうなので、私は不安になりましたが、
「美容院が混んでるんだろう」
と、父は気にもせずにお風呂に入ってしまいました。
隣には、テレビに夢中になっているフリをしながらも、母の帰りを心待ちにしている様子の妹がいます。
「もうすぐ帰ってくるよ、きっと」
妹が玄関の方を見るたびに、私はそう言って慰めていました。
7時を20分ほど回ったころだと思います。立てつけの悪い玄関の引き戸が大きな音を立てて開きました。