この話は実話です。私自身も体験したのですが、当時はなにも気付きませんでした。霊などはでません。
それはまだ私が幼いころです。
記憶は曖昧なのですが、確か妹がまだ赤子だったので、私は小学生の低学年だったと思います。
当時妹はひどい小児喘息で、診察と常備薬を処方してもらうため、
車で1時間ほどかかる遠方の病院に通っていました。
私は病気でもないのに、よくそれについていきました。
なぜなら、幼いころはたとえ病院だろうと遠くに行くだけで楽しかったですし、
それに道で外食をすることがあったのです。
一方、手間がかかる私をつれていくのを母は嫌がり、「家にいなさい」と言っていました。
私はそれでも無理を言って病院についていきました。
病院では、私はいつも妹が診察をうける間、病院内をうろうろと歩いておりました。
いつものように広い病院を探検する気持ちで歩いていると、
いきなり、院内服を着た知らないお婆さんから話しかけられました。
「ぼく、飴いる?」
そのお婆さんは、真っ白な白髪にまばらに残る黒髪が印象的で、体格は小柄、それに酷く痩せていました。
顔色も悪くて、不健康そうに見えました。
思い詰めたように暗くて、疲れきったような表情に見えます。
なにより、私を見る目が怖かったのを覚えています。
お婆さんは、「自分はここに入院している」のだといいました。
前からよく病院内を歩く私をみて、話しかけたかったのだそうです。
「寂しいから友達になって欲しい」といいました。
私はお婆さんを怖いと思ったので嫌だと思い、黙って首を横にふり、母の元に逃げました。

