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小学生の頃に放課後の図書室で本棚を見渡して、読みたい本を適当に見つくろっていた。
面白そうな本があってそのまま数ページ立ち読みしてたら、元々静かな場所だけど、何かやたら静かになったなーと思って周囲に目をやると誰もいなくなってた。
あれ?あれ??どうしよう…もう図書室閉める時間だったの?とあせって本を棚に戻して出口に向かおうとしたら、窓から真っ赤な空が見えた。雲なんてなかった。
夕日にしてはこんなになるのおかしいって思って、そのまま窓の外を眺めてたんだけど外からぼそぼそしゃべる数人の声が聴こえてきた。
反射的にヤバい、と思って本棚の影に隠れて様子をうかがった。でも誰の姿も見えなかった。