地下
09/09/28
その日、仕事帰りに自宅近くのショッピングモールに買い物のために寄りました。時刻は20時すぎだったと思います。

そのショッピングモールは、デパートというには小さすぎる地方の商業施設なのですが、普段着などのちょっとした買い物にはとても便利なので、私はちょくちょく利用していました。

建物は6階建てで、5階と6階が駐車場、商業施設は地下1階から地上4階までの5フロアです。そして地下1階は現在改装中で立ち入り禁止となっていました。

モールは21時に完全閉店なので、20時半くらいだったその頃はフロアのほとんどの店が閉店準備をしていて、緑色のネットがかけられていました。

私は4階で買い物をすませたあと、店の人にも悪いし急いで帰ろうと、フロアの端にあるエレベーターへと向かいました。(エスカレーターはすでに止められていました。)

エレベーターに乗り込むと、私は1階のボタンを押しました。

そのエレベーターには何度か乗ったことがあるのですが、窓がなくて息苦しいし、照明は暗いし、動きは遅いし、音は大きいし、後ろについている鏡がやたらと大きいしで、あまり居心地のいいものではありませんでした。

エレベーターが動き出してからふとボタンを見ると、押したはずの1階にランプがついておらず、そのひとつ下の地下1階にランプがついていました。

押し間違えたんだな、と思ってもう一度1階のボタンを押してみましたが、ランプはつきません。

エレベーターは稼働音を響かせてどんどん下降していきます。そしてそのまま工事中で立ち入り禁止であるはずの地下1階に到着し、扉がゆっくりと開きました。

工事中のそこは照明がいっさい点いておらず真っ暗で、誘導灯の灯りだけが緑色に光っていました。もちろんテナントはいっさいなく、がらんとした空間が広がっています。

なんだか気味が悪くなったので、すぐに閉ボタンを押して1階に上がろうと思ったのですが、扉が閉まりかけたその時、視界に何かが映りました。

暗闇に慣れていない目で最初はなんだかよくわからなかったのですが、どうやら閉まりかけのエレベーターに乗ろうと走ってきている人のようでした。

そこで私は開ボタンを押して待つことにしたのですが、暗闇に慣れてきた目でもう一度その人影をよく見てみると、走ってくるその人影はゆうに2メートルはありそうなほど背丈が高く、異様に頭が小さくて、とても痩せていました。

そんな姿をした人が真暗なフロアを、両手を後ろで組んだような感じで、くねくねと身をよじらせて倒れそうなのをこらえる感じでこちらに向かって移動してきていました。

怖くなった私は急いで閉ボタンを押しました。それを見て急いだのか、それはより一層身をよじらせながらこちらに向かってきました。

私は怖くて怖くて何度も閉ボタンを押しました。ようやくゆっくりと扉が閉まり始め、その時誘導灯の光に照らされてその人影の姿が少し見えたのですが、頭に髪の毛はなく坊主頭のように見えました。それと裸足だったことを覚えています。

扉が閉まった後も馬鹿みたいに閉ボタンを連打していたのですが、エレベーターはなかなか動きだしません。私は1階ボタンを押すのを忘れていました。

あわてて1階ボタンを押したのと同時に、エレベーターの扉からドン!と、ものすごい力で叩いたような音がしました。

私はまたしても1階ボタンを連打しながら、1階に着いたと同時に走って外に飛び出しました。

その後はすぐに友達に連絡して、迎えに来てもらいました。この話は友達にはしませんでした。